大学数学は難しい!理由を解説します。
こんにちは。大人の数学教室コスモ 代表の 川内 明です。
私は大学生・社会人向けの大人の数学教室を運営しております。さて、タイトルにもある通り大学数学は難しいということなのですが、この記事をご覧の方は大学生や社会人の方がほとんどだと思います。この記事では大学数学が難しい理由について解説していきます。
大学数学が難しい理由
1.高校数学に比べて大学数学は格段に抽象的になる。
2.定理の証明が難しいのに説明がほとんどない本が多く、理解が難しい。
3.大学数学の本は高校までの数学の本と違ってチェックがされてないから数学的に間違った誤植が多い本もある。こういったこともあり数学書を読むのは非常に難しい。
それぞれについて解説していきます。
1.高校数学に比べて大学数学は格段に抽象的になる。
高校数学では定理を使った計算がメインでしたよね?しかし大学では定義がそもそも抽象的になります。
たとえば代数学なんかがいい例です。たとえば、群の定義は演算が1つで演算がGの中に入っていて(これは大前提)結合法則の成立、単位元の存在、逆元の存在が言えればこういう集合Gを群と呼びましょうという決まりになっています。じゃあ群ってなんなの?と聞かれることも多いですが、結局上のようなことが成り立つ集合としか言えません。そしてたとえば群論では群を定義した以降の定理などでGを群とする。という仮定がされて定理が展開されていきます。群の例などもやりますが、高校とは違い、群とはなんぞやということに対して抽象的にしか答えられないので、Gを群とするとか言われても、どういうこと?となってしまうのです。
高校などの二次関数と言えばy=ax^2+bx+cといったように具体的に表すことができないのです。大学では”良い性質”を満たす集合や関数なんかに名前がついています。
2.定理の証明が難しいのに説明がほとんどない本が多く、理解が難しい。
大学数学では定義から定理・命題などを導きますがこの定理や命題の証明がやっかいです。というのも、高校数学と違って大学数学の本や教科書ではすごく難しいことが1,2行の説明で終わっていたりします。
こんな説明でわかるわけないじゃん、もっと説明してよと言わんばかりの端折った説明。これでは誰のための専門書かわからないですよね。基本的に大学数学の本はその分野の専門家か、その分野について一度は学んだ人向けに書かれているので俗にいう行間が広く(説明が少ないという意味)ものすごく難しいのです。
もちろん行間が割と狭くわかりやすい本もありますが、そういった本に出合うのは至難の業。まだわかりやすい授業を取ったほうがマシでもあります。ただこれも大学教員によって当たり外れがあるのでわかりにくい教員に当たってしまった場合はその科目が苦手になってしまう場合も。
私は位相空間が全く理解できませんでした。幾何が専門の先生の授業だったのですが、なんというか説明がふわふわしていてなんでこうなるのかとか全然わからなかったです。概要だけこんなもんかと理解して単位だけ取って終わりました。ちなみに大学の幾何は基本的に図形は出てきません。数式で表して計算します。
3.大学数学の本は高校までの数学の本と違ってチェックがされてないから数学的に間違った誤植が多い本もある。こういったこともあり数学書を読むのは非常に難しい。
大学数学の本は高校までの数学の本と違って普通に誤植があります。そして数学科のセミナーでは誤植があることを前提で本を読み理解した内容を他の学生や先生に説明するのですが、誤植があったらそこを修正しないといけないので大変です。数学をきちんと理解していないとそもそも誤植かどうかすらわからないでしょう。よくあるのは証明の過程で文字が間違ってたり、定理の主張の記号が間違ってたりなど多岐にわたります。
ここで注意していただきたいのは同じ大学数学といっても、文系で学ぶ数学から工学系でやる数学、数学科の数学では全く違うということです!
文系なら線形代数や微分積分の計算くらいでしょうが、工学系になるとそれに加え複素関数なども入ってきます。理学部の化学系になると群論などの抽象代数学も学びますし、数学科ともなると数学のほぼ全分野を学ぶ上に1年生で微分積分で重要な極限の厳密な定義であるε-δ論法について扱います。このε-δ論法は相当クセモノでこれのせいで数学が嫌いになったという数学科生の数は数え切れないほどです。数学科に来たことを後悔するハメになります。
じゃあ大学数学がわからないときはどうしたらいいの?そのようなときは学生さんの場合は先生やTAに聞いたり本で勉強したりできますが、大学数学はそう簡単に理解できるものではありません。まず授業を聞いただけで理解できるなら天才です。まあそんなこと言ってる人のほとんどは何も理解できてないんですが。
大学の数学は高校数学と違って1ページの数学書を読むのに数時間、あるいは数日かかるなんて普通です。セミナー発表で90分で1ページしか進まなかったなんてこともザラにあります。ちなみに読むとは小説を読むのとは違い式変形等を自分で追って、式変形一つ一つに、これはこうだからこうなると理屈をつけていく作業です。これが地味にきついですが、数学科生はみんなこれをやってきているので他の学部の学生と比較して論理的思考力が格段に違います。
大学数学の授業や数学書の内容が理解できない。そういった学生さんや社会人のために数学教室を運営しているのでぜひご検討ください。
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